2015年11月29日日曜日

なんかこうイマイチ、なのよね……(※歌詞)


ミス・スパンコールが店であるものを手に持って「これ買う」とやぶからぼうに言い出すのです。その意気やよし、と理解を示しつつ「しかし落ち着いて検討してからでも遅くはないのではないか」とダメもとでおそるおそる引き止めてはみたものの、考えてみればそれでミス・スパンコールを説得できたことなどこれまでにただの一度もありません。このへんの迷いのなさはじつに男らしい。

そうして彼女が満面の笑みで颯爽と手に入れたのは


いまは参議院議員をされている三原じゅん子先生が35年前にリリースしたデビューアルバム「セクシー・ナイト」です。


活字のずれが気になる


1980年といえば僕はまだ幼稚園児ですが、70'sも終わりの革ジャンでやさぐれっぽいビジュアルとくればここで展開されているサウンドはなんとなく想像がつきます。そして実際、寸分違わずそのとおりだった楽曲の数々を久しぶりに引っぱり出したラジカセで聴きながら、読むともなく見ていた歌詞で、ふとある箇所に目を留めるわたくし。


「ナオン」だ!

説明せねばなりますまい。「ナオン」とはつまり「オンナ」であり、なぜこの形が先端とされていたのか今ではさっぱりわからない70's特有の言い回しのひとつです。どことなくウェットで挑発的なある種のスラングですが、僕が物心つくころにはとっくに死語と化していて実際に耳にしたことはありません。かつてそう称された時代があるらしい、とほとんど都市伝説みたいな印象だったので、思いがけない収穫に感慨もひとしおです。この単語ひとつで300円の価値はあった気がする。

とおもったら、これ今では蔑称として放送禁止用語になっているそうです。

( ゚Д゚)

そうなの!?

というかそもそもそういうニュアンスだとすらおもってなかった。蔑称とかそれ以前のすごくシンプルな理由で二度と使われる日はこない気がしますけど……。

表記もアレだし、コーラスっぽいし、電波ではぎりぎり流せるんだろうか……。


おまけ:ミス・スパンコールがこのテープといっしょに買ったLP

「Rudy Ray Mooreってコメディアンだからこれ喋ってるだけだよ」
「いいの!ジャケ買い!ジャケ買い!」

2015年11月26日木曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その234

挑発的な軍手


こんにゃく指輪さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士が適当につけています)


Q: いつでも飄々としたイメージのある大吾さんですが、これまでひどい目にあって取り乱したことはありますか?ちなみにわたしが「あぁ、なんてひどい目に」と感じたのは、取り乱しはしませんでしたが、信号無視の車が突っ込んできたときです。元気に生きているので大丈夫です。


うわあー!と一瞬取り乱しましたが、元気に生きているそうなのであまり騒がないでおきましょう。ご無事で何よりです。というかご無事で済むわけがないけれど、人生における不毛の象徴とも言うべきパンドラ的質問箱にこうしておたよりいただけるくらいには回復されて何よりです。「賢いハンス号」(※ピス田助手の手記 21を参照のこと)みたいに気配りに長けた車が量産されたら誰もこんな目に遭わなくて済むのにとおもいます。それにしても災難でしたね……。

事故といえば僕もバイクに乗っていて何度かトラックにはねられたことがあります。いちばんひどかったのは、全身が宙を舞って5メートルくらい吹っ飛んだときです。バイク(XJR400)は一目で廃車とわかるほどぐしゃぐしゃになりましたが、代わりに身体のほうは無意識にミラクルな受け身をとったらしく「あいたたた」くらいのダメージで済みました。起き上がって周りを見渡すと数十メートル先にたまたまホンダか何かの代理店があったので、てくてく歩いていって事情を説明し(「すみません、今そこでバイクが大破しちゃったんですけど」)、そのまま廃車の手続きをお願いした記憶があります。

ただ、取り乱した記憶はありません。どちらかというと呆然として「あらー……」というかんじです。身体はおもいのほかぴんぴんしていたし、実際「あらー……」くらいしか言うことなかったとおもう。

取り乱したことがあるとすれば、いつだったか海中でカツオノエボシに巻きつかれたときですね。ググってもらうとわかりますが、海で絶対に遭遇したくない猛毒生物のひとつです。何しろ僕は当時この恐ろしい生き物のことを知らなかったし、何が何だかわからない状態で海中でいきなり上半身を激痛が襲う恐怖といったらまったく筆舌に尽くしがたいものがあります。青いビニール紐みたいのが身体に巻きついてるのはわかるんだけど、パッと見それが生き物だとは判別しづらいせいで余計に混乱するのです。原因不明の激痛というだけで震え上がるのに、陸から離れた海中で自由もきかないのだから、そのままぶくぶく沈んでもおかしくありません。「死ぬ場合もある」と後日知って、「あらー……よかった、死ななくて」としみじみおもいました。死ななくてよかったです。


A: カツオノエボシに巻きつかれたことがあります。




質問はいまも24時間無責任に受け付けています。

dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)


その235につづく!

2015年11月23日月曜日

KBDGによる謝罪会見ダイジェスト2015


おもえば僕の人生は色とりどりのお詫びとともにある、と申しても過言ではないような気がいたします。

今や僕にとってお詫びとは、どんなときでもそばにいて離れず、手をそっと握りながら上目遣いで「わたしがついてるからね」とやさしくささやく恋人のような存在です。問題は恋人だったなんてつい最近までぜんぜん知らなかった点ですが、しかしまあ世の中には気がついたらそういうかんじになっていて、そのままなし崩し的に添い遂げるふたりもあります。どこからどう見ても立派な中年として足腰をトントン労る今となっては、超然とした面持ちで受け止めるほかありません。

でなければ僕が卵で、カラザがお詫びです。僕がアメリカンバイクのライダーなら、当たり前みたいな顔をしてサイドカーに乗りこむのがお詫びです。カルガモのように道を横断すれば、お詫びがヒナ鳥よろしく後をちょこちょことついてくるし、「おーい母さんアレどこやったかな、えーと」と言えばお詫びが「はいはいコレですね」と言って眼鏡を持ってきます。SUICAやPASMOで1駅分に満たずいつもちょっとだけ残る端数もお詫びだし、何ならスープ缶の底から最後まで出てこようとしない1粒のコーンもお詫びでよろしい。いずれにせよそれはもう、何か名状しがたい力によってどうあってもそこにある僕の一部と決められているのです。

かつてはブログを放置するたびに謝罪会見をひらき、ライブアクトの白紙ぶりに謝罪会見をひらき、アルバムが出ないと言っては謝罪会見をひらき、出るとなったら出るとなったで遅々として進まずに謝罪会見をひらき、いよいよ完成間近かとおもえば発売日直前までもたついて謝罪会見をひらき、完成したら完成したでオーダーフォームの作成につまずいて謝罪会見をひらき、ラジオに出れば失言で謝罪会見をひらき、パフォーマンスにしくじって謝罪会見をひらき、謝りすぎたと言って謝罪会見をひらき、あまつさえこれを数年おきに繰り返してきたのです。次に何をお詫びすることになるのかくらい僕もだいたい察しがつきます。

しかしまさか独演会のチケットが手に入りづらいという理由でお詫び申し上げる日が来ようとは、さすがに思いもよりませなんだ。もともと席数が席数だし、いろんな要因がたまたま重なった結果とはいえ、本当にありがとう!

そしてストレッチで念入りに体をほぐし、スーハーと呼吸を整え、今までにないくらい絶好のコンディションでこの唖然とする想定外の事態を心からお詫びします。まことにもうしわけがありません……!

現時点では満席となっていますが、まだ確定ではありません。以前も書きましたが神のみぞ知る何らかの理由によってまずまちがいなく、空席が発生します。というか、打ちのめされるほどやたらと発生するケースもあります。

それがどのタイミングなのかは僕も明言できないのだけれど、いつだったかかなり長い間「チケットを申し込む」の状態になっていたことがあったので、よかったらときどきPeatixをチェックしてみてください。

ともあれ次回にはこのちいさな狂騒が夢だったかのように落ち着いているはずです。どうかどうかあまり遠くにいかず、ふと思い出して暖簾をくぐる近所の飲み屋みたいな距離感でいてくださいますように……!

それにしても07へのハードルがいきなり上がりすぎて今から気が重たい。

2015年11月20日金曜日

「オントローロ 06」受付開始のお知らせ

えー、毎度こりずにオントローロでございます。「くそ、どうも近頃ツキがねえ、道ばたに金塊でも転がってりゃいいのに」とお嘆きのあなたにこそうってつけ、すくなくとも道ばたに転がってる金塊と同じくらいには心ざわつく憩いのひとときを、ぜひこの機会にお試しくださいませ。


オントローロ 05&06 @渋谷 Flying Books
05:2015/12/13(日)
06:2015/12/27(日)
open: 19:00 start: 19:30
fee: ¥2,500(1ドリンク付) 各40名


※「05」と「06」の内容は100パーセント同じです。できればどちらか1日をお選びくださいませ。

※仮に完売となっても、何らかの事情で撤回される場合があります(というか毎回かならずひとつふたつ空きが出ます)その際はPeatixの表示が「販売終了」から「チケットを申し込む」に戻りますので、ときどきチェックしてみてください。

※ちょっと保留にしたい人はログインして「ウォッチリストに追加」がオススメ!


オントローロとは「よむ(読/詠)」ことに主眼を置いた、泥ゴボウの、泥ゴボウによる、人よりもすこし泥ゴボウに対して懐の広いみなさまのための、泥ゴボウです。

あれ、ゴボウだっけ?

とにかく、えーと、誤解やすれちがいから一度はその手を離し、互いに別の道を歩んでいたふたりが運命のいたずらによって再び出会い、身を切られるような葛藤に苛まれながらも最期には何もかもかなぐり捨ててアイニージューなこの冬最高のラブストーリー、の代わりになりそうなものを適当にみつくろってお届けします。

過去4枚のアルバムからなんとなくなかんじで選りすぐった楽曲はもちろん、他に披露する機会もないという切実な理由でここぞとばかりに引っぱり出すエクスクルーシブな音源、一度耳にしたら二度目に聴いたときの抵抗が減ると好評のアカペラ、どこかで聞いたことのあるような話から、抱腹絶倒だったらよかったのにと惜しまれる話、なくても別に困らないからこそ愛おしい書物の紹介やときにはヒット曲の歌詞についてのいいかげん理路整然としてほしい解説など、使えそうなものを片っ端からかき集めてそれっぽくまとめ上げたその場しのぎのゴージャスな夜をあなたに!

2015年11月18日水曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その233


小林大吾さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士が適当につけてくれませんでした)

Q: 久しぶりに人と会うと、毎回判で押したように「あれ、やせました?」と言われます。しかし実際のところ、体重は成人してからリンゴ3個分も変わっていません。増減するとしたらせいぜい用を足す前と後だけです。とくに困るようなことを言われているわけではないし、誰に相談しても同情してもらえない類の話ではあるのですが、あまりにしょっちゅう言われるのでいいかげん穴を掘って「うるさい!2度触れる前に消えてなくなれ!と吐き捨てたい衝動に駆られます。いわゆる「ロバ耳健康法」というやつです。そんなことならいっそここからさらにダイエットに励んで骨と皮だけになるか、もしくは皮も脱ぎ捨てて骨だけになったほうがよほど精神衛生上よさそうにもおもわれます。何しろ骨にはやせるも太るもありません。どこの誰だか見分けがつかなくなるのが心配なら後頭部あたりに大きく名前を彫っておけばこと足ります。その日の気分に合わせてペンキを頭からかぶれば、それだけでファッショナブルなじぶんを演出できそうです。100年たってもほとんど容姿が変わらないわけだから、ある意味永遠の若さを手に入れたことにもなるでしょう。読モあたりからキャリアをスタートしてもいずれは世界でただ1人のスケルトンモデルとしてパリコレ進出なんかも視野に入ってくるはずです。

(フラッシュを浴びまくる未来予想図にうっとりしています)

ただいったん皮を脱いでしまうとTシャツみたいに気軽に着替えるわけにもいかないので、なかなかふんぎりがつきません。何かの拍子に「前のほうがよかった」なんて言われた日にはショックで立ち直れない気もします。また「露骨すぎる」という文字どおりの理由で人から敬遠されるようになったりしたらそれこそ本末転倒です。骸骨もすてきだよ、と言ってくれる人はいるでしょうか?あと、骨だけに野良犬にしゃぶられる危険性はどのくらいあるのでしょうか?


A: 最近は野良犬を見かけないのでその危険はほとんどありません。




質問はいまも24時間無責任に受け付けています。

dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)


その234につづく!

2015年11月16日月曜日

KBDGに欠かせない原材料としてのATOM


むかしむかし、もうかれこれ0.03世紀ほど前の話になりましょうか、小林大吾が所属するレーベルFLY N' SPIN RECORDSには「SUIKA」という、3人のMCを擁する総勢6人のヒップホップ・ミーツ・ポエトリーなバンドがありました。レーベル内での存在感をひと皿のステーキにたとえると、SUIKAが肉で、僕が付け合わせのパセリです。と申せばその大きさがおわかりいただけましょう。

あった、と過去形で切り出したように、彼らはいま目立った活動をしていません。なぜ活動していないのかと言えば、ある年オーストラリアまで日食を観測に出かけたMCのひとりであるATOMさんが、そのまま向こうに居着いて日本に帰ってこなくなってしまったからです。片道分の航空券しか用意していなかったことは聞いていたけれど、まさか本当に帰ってこなくなるとは当時だれも思いませなんだ。

貯蓄や収入源はおろかそもそも知り合いすらいないのに、なぜよその大陸で生きていくことができるのかというのは、心理的な距離で言ったらかなり近いはずの僕らですら今もって解せない謎のひとつです。聞くところによると「衣食住には金をかけない」とこともなげに話していたそうですが、もしそれが本当だとすればカンガルーのお腹の袋で寝泊まりしているのかもしれません。言われてみればたしかに元から、人とか獣とか妖怪とか、そのへんの区別をあまり気にしない大らかな人ではありました。

追悼ではありません

ATOMさんはまた、僕が生まれて初めて人前でリーディングをした夜、その場にいた数少ない証人のひとりでもあります。古川耕という、僕にとってこの世に2人とない知己を得たのもこのときですが、それもATOMさんが彼に声をかけてくれていたからです。

僕がヒップホップを好んで聴いていたこともあって、古川さんは当初から「ヒップホップ的なアプローチで作品をつくってみないか」と提案してくれていたけれど、そこからアルバムをつくろうという話になるまでたしか2年くらいかかっています。何しろそれを実現するには詩をのせるためのトラックというか、ビートがなくては始まりません。でもビートなんか手元にあるわけないし、提供してもらえるような知り合いもないし、ましてや自作するなんて当時は完全に想像の埒外です。そういうのはもう、じぶんとは全然縁のない世界の話だとおもってた。

アルバムに収められているビートはもちろんすべて僕がMPC2000XLという、今となっては骨董みたいな古いサンプラーでこしらえたものですが(データの保存はフロッピーディスクかSCSIでつなぐMOでUSBもない)、このMPCの存在とその使いかたをゼロから教えてくれたのも、ATOMさんです。

つまり元を辿れば古川耕とMPCという、僕の作品がアルバムとして形を成す上で絶対的に欠かせない2つの要素をもたらしたのが、ATOMさんということになります。彼がいなかったら今ごろ僕はここにいなかったはずだし、当然オントローロも生まれていません。僕と僕の作品にとっては古川さんよりも先にいた、文字どおり神様みたいな存在です。

そんなATOMさんが0.03世紀ぶりに数日間だけ日本に帰ってくることになり(考えてみれば文無しなのになぜ帰ってこれるのかもふしぎです)、どちらかというとやむを得ない消極的な帰国理由はさておき、SUIKAのMC3人の再集結を祝う盛大な宴が先週末、恵比寿CreAtoで催されました。そういうことはもっと早く言えと仰るでしょうが、僕は僕でオントローロのことばかり考えていたので仕方がありません。


ステージに3人が並ぶ機会はこの先もうないかもしれない、と心のどこかで受け入れていただけに、冒頭の「MUSIC JUNKIE」でぶっ放されるATOMさんのビッグバンみたいなバースを耳にした瞬間、大げさでもなんでもなく涙がぼろぼろこぼれました。フロアが暗くてよかったとおもう。







あと、SWING-OさんとATOMさんのフリースタイルピアノセッションがすさまじくて鳥肌ものでした。何アレ……。









 おかえりなさい、会えてよかった!そしてありがとう、気が向いたらまた帰ってきてね。


2015年11月13日金曜日

「オントローロ 05」受付開始のお知らせ

えー、毎度おなじみ、オントローロでございます。古新聞、古雑誌、ボロ切れなど、ございましたら近くのちり紙交換車までお気軽にお声をおかけいただき、いくらかのちり紙と交換したのち、すっきりとした心持ちでこちらをお求めくださいませ。


オントローロ 05&06 @渋谷 Flying Books
05:2015/12/13(日)
06:2015/12/27(日)※11/20より受付
open: 19:00 start: 19:30
fee: ¥2,500(1ドリンク付) 各40名


※「05」と「06」の内容は100パーセント同じです。できればどちらか1日をお選びくださいませ。

※仮に完売となっても、何らかの事情で撤回される場合があります(というか毎回かならずひとつふたつ空きが出ます)その際はPeatixの表示が「販売終了」から「チケットを申し込む」に戻りますので、ときどきチェックしてみてください。

※ちょっと保留にしたい人はログインして「ウォッチリストに追加」がオススメ!


オントローロとは「よむ(読/詠)」ことに主眼を置いた、小林大吾の、小林大吾による、小林大吾のための、まちがえた小林大吾を苦虫を噛み潰すほどにはわるくないとたいへん前向きに受け止めてくれる愛おしくも奇特なみなさまのための、息もつかせぬジェットコースターのような、とおもったらいつの間にかメリーゴーランドの馬にまたがって上下に浮き沈みしながら「パパー!」とぶんぶん手を振っているような、そしておそらく良い意味でも悪い意味でも期待を裏切って悪びれない、そんな独演会です。

過去4枚のアルバムからダーツやあみだくじで選りすぐった楽曲はもちろん、ここでしか聴けないエクスクルーシブな音源、銀行の襲撃に失敗した強盗が通りすがりに耳を傾けて涙し、「1回くらいの失敗がなんだ」とその足で再び襲撃、みごと雪辱を果たしたとまことしやかに囁かれる珠玉のアカペラ、そこそこおもしろい話や実際のところそうでもない話、不眠に効果的な話から話にならない話、書物の紹介やときにはヒット曲の歌詞についての乱暴な解説など、総じてとっちらかったひとときをお楽しみください。

2015年11月10日火曜日

KBDGプレゼンツ「オントローロ 05 & 06」のお知らせ

抱腹と絶倒の連続で息もできずにのたうち回ったあげく、限界を超えたお客さんがクラッカーのようにひとりずつパン!パン!と破裂していき、つられてスタッフや出演者もなかよく破裂、どこからともなく流れ出す「美しき青きドナウ」をエンディングテーマに、肉屋もびっくりの死屍累々ぶりで毎回しんみりと幕を閉じるオントローロが、「べっべつにそういうんじゃないから!来てほしくて話を盛ってるとか、かんちがいしないでよね!」とでも言いたげなヒゲ面でぷりぷりと帰ってまいりました。

注:若干誇張されています。


オントローロ 05 & 06
@渋谷 Flying Books

05 2015/12/13(日)
06 2015/12/27(日)
以下、両日とも同じ
open:19:00 start:19:30
料金:2,500円(1ドリンク付) 各40名

受付開始は「05」11月13日(金)の正午から、「06」11月20日(金)の正午からです。最新のエントリに専用のリンクを貼りますので、例によってひとまず日程と「へー、あるんだ」ということだけ心に留め置いてもらえればとおもいます。

また、ひょっとすると「05」と「06」の両日を希望される方もいらっしゃるかもしれませんが、どちらも内容は同じですので、できればどちらか1日をお選びくださいませ。


思い起こせばまだつやつやとした青葉のころ唐突に始まり、夏にもひとつ、秋にもひとつで、気づけば今年もはや暮れに向かいつつあります。よもや1年をライブでしめくくる日が来ようとは誰に想像できたでしょう。こう言っちゃなんだけど僕がいちばん唖然とするし、まるでミュージシャンのようです。

手のひらサイズのささやかな催しですけれども、まろやかなでコクのある時間をきっとお約束いたします。ぜひアイツもコイツも有無を言わさず両手両足ふんじばってお誘い合わせの上、アメリカバイソンの大移動よろしくどすどすどすと押し寄せるようにお申し込みくださいませ。初めましての方こそ大歓迎です。何なら婚活目的でもかまいません。

「あの、ご趣味は……?」
「オントローロです」
「まあ!じつはわたしもなんです!」
「えっ!何か別のとかんちがいされているのでは……」
「オントローロですよね?」
「はい、あの、豆粒みたいなイベントで……」
「すてきな古本屋さんで……」
「泥のついたゴボウみたいな男が詩を……」
「それですそれです!」
「まさか!信じられない」
「どの回にいらしたんですか……?」
「たしか03です」
「そんな!わたしも03でした!」
「なんてこった!結婚してくだ……」
(遮るように)よろこんで!」

2015年11月7日土曜日

まずはこちらの天気(予報)をご覧ください


ある日、新聞の天気欄を見ていてふと、妙なことに気づいたのです。1週間分の各地の天気と降水確率がざっとまとめられてるんだけれど、あちこち見比べていたらどうもこう、釈然としないものがあります。どこの土地かは問題ではないので、予報部分だけ抜き出してみましょう。

A くもり 降水確率60%

B  くもりときどき雨 降水確率50%

傘がより必要とおもわれるのはどっちだろう……?

降水確率だけみれば(A)です。でも全体の天気で言うと(B)にははっきりと雨マークが表示されています。図だけではピンとこないかもしれないので、カジュアルなタメ口に言い換えてみましょう。たとえば天空を司る神であるゼウスがこう言ったと考えるのです。

A 「くもりだけど……降りそうだな〜」
B 「雨マークあるけど、どうかな、降らないかも」

釈然としないと先に申し上げた理由がこれでおわかりいただけましょう。目安としての予報のはずなのに、どちらかというときもちの問題のようにも見受けられます。ダイゴくん、降水確率ってのはそういうことじゃないんだよ、と物知りな御仁が仰るかもしれませんが、僕としては「それがどうしたこのすっとこどっこい、お帰りはあちらです」とご退場願うほかありません。大人の論理でうまいこと丸めこまれるのはご免です。

こんな例もあります。

C くもり 降水確率10%

D 晴れ 降水確率40%

いえ、もちろん言わんとすることはよくわかっているつもりです。降らないくもりもあれば、降る晴れもある。そのとおりです。これをおかしいと言うつもりはありません。ただ、その理屈を押し進めたその末端には、こういう可能性もあるということになりはしませんか?

E 晴れ 降水確率100%

理論的にはありうる話です。ここまでくるとさすがにヘンだなという気もするけれど、ありうるのだからしかたがありません。僕らとしては全方位的な心構えで準備をすることになりましょう。要は降っても晴れてもいいようにしておくのです。しかしだとすると365日それでいいじゃないかということになるし、そもそも何のために明日の天気を知ろうとしているのかわからなくなってくるじゃないですか?

というか今まで考えたこともなかったけれど、ひょっとして僕らはすでにうまいこと丸めこまれてるんだろうか?どんな天候でも実はおおむねカバーできている、フレキシブルな予報によって?

F 雨 降水確率0%

2015年11月5日木曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その232

なんか怪物がいるみたい


ポーンコタージュさんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士が適当につけています)ポーンがたっぷり入ったコタージュのことですが、パッと見だとこれでまちがってないような気もしますね。


Q: お掃除、好きですか?好きな場合はその理由を教えてください。釣られて私も好きになるかもしれないので。私は掃除が苦手で嫌いで、修行だと思ってやるようにしてます。掃除なんてどこかに放り出してだらだらしてたい。


先にお答えしてしまうと、残念ながらとくに好きではありません。修行だとおもってする点も同じです。とくに僕の場合、これはもうどっからどう見ても修行だよと言い切れる正当な理由があります。なんとなれば、うちには掃除機がないからです。

一人暮らしをはじめるときに買ったシンプルな掃除機を20年ちかく買い替えもせずにブイブイ言わせてたんだけれど、あるとき突然沈黙して、泣く泣くお別れすることになりました。2年前のことです。愕然とさせられたその経緯も当時ここに記録として残しています。

長年連れ添った気さくな掃除機とお別れした理由

ちなみにこれはときどき「掃除機+ホース+ちぢむ」でググられた方がうっかり辿り着いて、何も有益な情報が得られないことに舌打ちしてお帰りになる罠みたいなエントリでもあります。

ともあれ、以来うちには掃除機がありません。代わりにその役目を果たしているのは、ホウキグサを編んだ見目も麗しい箒と、雑巾です。掃除となったらせっせと床を掃き、せっせと水拭きしています。

言うまでもなくものすごい手間です。やたらと時間がかかります。夏は汗だくになるし、冬はとにかく水が冷たい。これが修行でなくてなんでしょう。新しい掃除機を買ったほうが早いし、楽なのはまちがいありません。

にもかかわらず2年たっても箒と雑巾を使っているのは、ひとつにはこれで掃除機のノズルなんかお話にならないくらい部屋の隅々まで行き届くこと、電気を使う必要がないこと、あといちばん大きいのはホコリがまとまりとして目に見えることにハッとさせられたからです。

考えてみればずっと当たり前のように掃除機を使っていたので、たまりゆくホコリの量を把握したことなんてありません。掃除機の吸いこみがわるくなったら紙パックを交換するだけです。全体としてどれくらい汚れていたのかもぜんぜん気にならない。そこで暮らしている以上はどうしたって無視できないはずのものなのに、掃除機が相手をしてくれるから意識の端にも上らずにいたのです。

ところが箒はそれまで見ずにいたホコリを赤裸々に集めてくれます。日によって量もちがうし、よく見たら質もちがいます。どちらかというと冬よりも夏のほうが多いとか、窓を開ける頻度だったり数日留守にしたり新陳代謝の度合いなんかでも変わりそうだけど、ある種のバロメーターになるとだんだんわかってくるのです。そういや風つよかったもんな、とかね。知っているようでまったく知らずにいた暮らしの痕跡にはあらためてしみじみと感じ入るものがあります。

では掃除が好きになったかというと、ふしぎなことにそうでもありません。せいぜい以前よりちょっと前向きになったという程度です。きれいになったらやっぱりうれしいけど、でもしないですむならそりゃそのほうがいいよな、と今でもおもいます。いちど掃除が好きな人に訊いてみたことがあるけれど、「だってきれいになるし」と言われました。うん、まあ、そうだよねと全面的に同意した上での苦手だから、掃除におけるイエスとノーの間には何か埋めがたい溝が横たわっていると言っていいでしょう。

だとすればこの溝をなくす手はひとつしかありません。


A: 掃除好きな人をつかまえていっしょになることです。


ホウキ生活をおすすめするわけではなくて、結果的に僕の性に合っていたというだけの話です、もちろん。



質問はいまも24時間無責任に受け付けています。

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その233につづく!

2015年11月2日月曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その231


たまにはひとくちでお答えできそうな質問をもさっと詰め合わせてお送りしましょう。


また会うヒマでさんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士が適当につけています)

Q: 私は二ヶ月ほど前から留学生としてニュージーランドで生活しております。初の自炊生活が外国で始まり、(略)フレンチトーストをよく作るようになりました。ところがこのフレンチトースト、伊達巻と味がほとんど同じで「懐かしい…日本食が恋しい…」とフレンチトーストを食べながら伊達巻に想いを馳せておりました。(略)フレンチトーストと伊達巻の味が似ているのはなぜなのでしょうか?

A: 似ているとすれば、心の伊達巻きがそうさせているのです。


佐藤大さじ1さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士が適当につけています)

Q: 時間が経ちすぎて乾いてしまったウェットティッシュはどう使えばよいですか?

A: ウェットでないウェットティッシュは単なるティッシュです。鼻をかみましょう。


オーバー・ザ・綿棒さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士が適当につけています)

Q: 方向音痴です。先ほど、めったに行かない六本木ヒルズに行ったらヘトヘトになりました。そういえば六本木ヒルズに行くと、うろうろしている間に駐車場の方向に出てしまうことが多い気がします。友人も「六本木ヒルズで気がついたら駐車場によく行ってしまう気がする」と言っていました。何かの陰謀なのでしょうか?

A: 言いにくいですが、たぶん方向音痴です。


あなたに喪中さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士が適当につけています)

Q: 下戸な僕に、「お酒を薦められた時」の対応を教えてください!

A: 「じつはアル中でして……」


まんじゅう事変さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士が適当につけています)

Q: 今とてもおなかがすいているのですが、空腹を紛らわせるいい方法を知りませんか?

A: ごはんを食べると驚くほど空腹がまぎれます。オススメ!


あっち向いて包囲さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士が適当につけています)

Q: 私は今年厄年で来年後厄ですが、最初の数ヶ月だけは風邪をひけば厄年のせいだ!などと、こっそり怯えてみたものの特にお祓いなどしないまま平和に2年を過ごしております。大吾さんは厄年など気にされることはありますか?

A: 災厄とは日ごろからツーカーの仲なので、とくに気にすることはないですね。


弁慶の泣きぼくろさんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士が適当につけています)

Q: コウノトリの赤ちゃんは誰が運んでくるのでしょう?

A: 誰も運んでくれないから絶滅しかけているのです。


第一次おせっかい大戦さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士が適当につけています)

Q: 大吾さんは二十代のときどんな感じでしたか?

A: 茶髪にコンタクトでスーツを着ていたら「なんか場末のホストみたい」と言われたことがあります。




質問はいまも24時間無責任に受け付けています。

dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)


その232につづく!