2016年1月10日日曜日

ドドメキはわかった、でも山の神がわからない


正月、30キロの道のりをバスに揺られてうとうとしていたら、「次はドドメキ、ドドメキ」とふしぎな停留所の名をアナウンスが読み上げたのです。

ドドメキ?ドドメキってなんだ?

停留所の名前なんだからなんだってこともないけど、耳にひっかかる響きです。アクセントとしては「ときめき」とか「どよめき」と同じで、「どどめく」の名詞形に聞こえます。でも動詞が地名になるなんてことがあるんだろうか?だってそれは「回し蹴り」とか「煮こごり」が地名として定着するようなものじゃないか?

どどめく、というのは「とどろく」と同じで、大きな音があたりに響くことですが、だとすると「どどめき」は「とどろき」と同じです。そして「とどろき」ならたしかに地名としてときどき見かけます。東京23区唯一の渓谷があることで知られる「等々力」なんかもそのひとつです。要は川、もっと言うとたぶん勢いのつよい川のそばをそう呼んだりするのですね。そういえば道は川沿いで、なぜここだけがという気もするけれど、ひょっとしたら他所よりも高低差のあるエリアだったのかもしれません。

次に気になるのは漢字です。「とどろき」には「等々力」とか「二十六木」といったちょっと意外な字が当てられているし、「どどめき」にもきっと思いもよらない漢字が


バスはきわどいカーブばかりの蛇行しまくった山道も平地とおなじ調子ですいすい走っていきます。いやさすがにこれはムリだろうと呆気にとられながらシートに腰を埋めていると、今度はさらに輪をかけて耳を疑う停留所の名が車内に響きわたるのです。

「次は山の神、山の神」

山の神!?いま山の神って言った!?と跳ね起きて前方の掲示板を確認すると



唖然としすぎたせいかブレまくりで信憑性がUFOとかUMA並みに引き下げられてしまっている気もしますが、本当に「山の神」と表示されています。

いや、わかります。わかるというのはつまり、ランドマークや地名が細かく分けられている町とちがって、山の中腹にある停留所には使えそうな名称がそう多くはありません。もし「中腹」とか適当につけられていても無理はないとおもう。

しかしそれにしてもこれはさすがにちょっとざっくりしすぎて部分というよりは全体な上に心理的な距離が近すぎるのではありますまいか。

ていうかこれ何のためにある停留所なの……?

一度こういう例を耳にしてしまうと「倶利迦羅紋々」とか「とっぴんぱらり」とか「ピンクとグレー」とか「ヒューストン応答せよ」とかそんな停留所があってももうそれほど驚かない気がする。

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