2016年1月25日月曜日

失われた古代都市みたいな重文を探して 後編


【前回までのあらすじ】あやうく川に落ちかけました。

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みごと二号水路橋をものにして心も軽く、甲州街道をさらに東へと歩きます。すでに相当のカロリーを消費してある意味やりきったような気がしなくもないのですが、どのみち隣駅まではこの道をてくてく行くほかないのです。



ここでふと左に目をやると……

あっ



街道からわずか10メートルほどの近距離に横たわっていたまさかの三号水路橋。ここから先は前回を余裕で上回る壮麗な美にひたすら息を呑んでいただきましょう。胸を射抜かれてもいいように、防弾チョッキ着用でご覧じろ!









時間と空間を越えてもはや異国情緒しかない、神秘的すぎる光景に心を根こそぎわしづかみで奪われながら、荒くなった呼吸を整えるためにふと北側を振り返ると、おや……奥のほうで水面に反射した光が岩場にゆらめいています。



キセキレイ発見


そういえば空腹だったことを思い出し、ここでおもむろに遅めの昼食をとるわたくし。ケータイも地図もないけれど、おむすびなら2つ持ってきています。




正直ここまでとはまったくおもっていなかった、と申し上げなくてはなりますまい。二号にもそんな趣があったし発見までの過程も相まって心躍ったけれども、三号は完全に古代の王宮そのものの佇まいです。機能で言ったらまったく必要ないはずの華麗すぎる意匠の数々にはまったく、うっとりと嘆息するほかありません。何よりこれが現役の水路として今もどくどくと脈打っていることに名状しがたい畏敬の念をおぼえます。そしてそれが世間から完全に切り離されてひっそりと自然に溶けこんでいる様は、本当に本当にうつくしい。

もう十分です。これ以上の感動はむしろ体に障ります。いっそここに骨を埋めたい衝動を必死で宥めながら、茫然自失の体でよたよたと街道に這い出るわたくし。そういえばまだ四号水路橋がどこかにあるはずですが、すっかり忘れておりました。




しかしそれにしてもインディ・ジョーンズを地で行く一日であった。

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