2017年1月19日木曜日

ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その258

無断使用をします。

軟骨精神さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がなんとなくつけています)世の荒波にコリコリと立ち向かう心持ちのことですね。


Q: 2ndアルバムを確か高校生時代に確かヴィレヴァン本店で聞いて以来、あれは誰だったんだろうなぁと思いながら行動に起こさずそこそこの年月が経って、今年の夏にようやく小林大吾さんであることを突き止めました。YouTubeって偉大。小林大吾さんは曲名も作者も分からないけど好きな曲ってありますか?


うれしいご報告です。辿り着いてくれてありがとう!のみならず年賀状キャンペーンのおかげでこうして双方向にやりとりができるんだから、いい時代になったものですね。僕の脳内では今、「火を絶やさずにおいてよかった」「10年前の2ndアルバムから何も変わってない」の両者が熾烈な争いを繰り広げていますが、放っておいてもそのうち「やるじゃねえか」「へへ、おまえもな」的な友情に発展するとおもうので、このまま好きにさせておきましょう。

とまあこんな具合でしみじみ感慨に耽りつつ、質問にお答えしようとキーを叩きかけてふとあることに気づいたのです。

どうやって突き止めたんだろう……?

音楽にかぎらず、検索にはキーワードが必要です。しかしタイトルも作者もわからないとなるととっかかりが何もありません。テレビで使われていればその番組なりCMから辿ることもできます。町中で耳にしたなら今はShazamなり何なりアプリで音声検索もできましょう。しかし日常生活においてKBDGの作品をたまたま耳にする機会など、放送事故レベルのアクシデントでも起きないかぎりまず皆無です。メロディをおぼえていればそれを糸口にすることもできるかもしれませんが、そもそもKBDGにはそのメロディすらありません。

あるいは「なんかラップみたいな、ごにょごにょ喋ってる感じのやつ」と言ったら選択肢はそう多くなさそうに見えますが、豈図らんや今この時代にはなんかラップみたいな、ごにょごにょ喋ってる感じのやつがそれこそ掃いて捨てるほどあります。どちらかといえば僕もたぶん、掃いて捨てられるほうです。

個人的な経験で言えば、曲名もアーティストもわからないけどとにかく歌詞が幼いというか乳くさいというか(拙い、とはちがいます)、そのしょうもない、思い出すだけで血管が切れる、シュレッダーで切り刻むくらいでは飽き足らず、燃やして灰にしてフッと吹き飛ばしてもまだぬるい、保育園あたりから出直してこい的な歌詞の一部を検索して突き止めたことはあります。そんなことするから余計に血管が切れるんだけど、要は歌詞の一部でも手がかりになるということです。しかしKBDGの異常な言葉数からして、おそらくそれも望めますまい。左とん平のヘイ・ユウ・ブルースみたいに「人生はすりこぎなんだよ!」とかそういう一度聴いたら二度と忘れられない最高のパンチラインをひとつでも残しておけたらよかったですね。



本題に戻りましょう。僕は昔から気になった曲があると即アルバムを探しにいく堪え性のない男だったので、知らずになんとなくそのままにしておいたことはほとんどありません。いきなりアルバムを買ってしまうと全体的にはそれほど好みでもないケースも往々にしてあるし、小遣いの範囲だからハズレたときのショックといったらないんだけど、そうやってすこしずつ、じぶんのなかにある音楽の裾野を広げていったようなところがあります。いやでも血肉になっていくというかね。

ただ1曲だけ、たしか中目黒の古着屋だったとおもいますが、店内に流れていたコーラスグループ系のキュンとしたモダンソウルが誰の何という曲だったのか、とにかくむちゃくちゃすてきな曲だったという印象だけが心の奥底でカビみたいに残されています。先にも延々と書き連ねましたが、この先どうにも調べようがないのです。そのときははっきりと、サビでタイトルっぽいフレーズを連呼していたので「ぜったいこれタイトルだ、あとで調べよう」と目論んでいたのに、気づいたらそのフレーズ自体を忘れてしまってまったく、手のつけようがありません。あれから何年もたっているし、ひょっとしてすでにそのレコードを持っているんじゃないかという気もします。それすら確かめようがないのです。

したがって、お答えとしてはひどく素っ気ないようですが、どうしてもこうなってしまいます。


A. あります。


しかしホントに、どうやって辿り着いたんでしょうね?




質問はいまも24時間無責任に受け付けています。

dr.moule*gmail.com(*の部分を@に替えてね)


その259につづく!

2 件のコメント:

f.k さんのコメント...

https://youtu.be/mNhIXZPnIX8
お久しぶりです。コーラスグループ系のキュンとしたモダンソウルでサビでタイトルを連呼している曲ときいて、すぐに僕の中で流れてきた曲がコレでした。もちろん違うのでしょうが、友人間で「あんな感じのこんな曲」で伝わった試しが幾度かあるので、検索エンジンが便利すぎる現在でも雰囲気サーチ法はよく使います!

ピス田助手 さんのコメント...

> f.kさん

うーんSilk!
これはフィリーのほうですね。
Silkというグループはもうひとつあって
たしかシカゴの人たちなのですが
こちらもすごくオススメですよ!
https://youtu.be/uQLU4nTFLDU